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コロナ禍でも存在感が揺らがない屋外広告
成功のポイントは「ターゲットの明確化」と「場所の選定」

広告業界が毎年注目する電通の「日本の広告費」。2022年はコロナ禍が一息ついたこともあり、全体では2007年以来の7兆円超え、15年ぶりに過去最高を更新しました。

インターネット広告費がマス広告を押さえて全体の43.5%までシェアを伸ばしたことが注目されていますが、マス広告、インターネット広告以外の「プロモーションメディア広告」に分類されている「屋外広告」「交通広告」が対前年比で増加していることも見逃せません。年々シェアを下げているマス広告に比べ、リアルの世界で大きなインパクトを与える屋外広告や交通広告は、揺るぎない存在感を持っていると言えるでしょう。

本記事では、関西支社の第二マーケティングプロモーション室が得意とする屋外広告について、その特徴やメリットなどについて説明します。


目次

  1. 看板広告
  2. ラック広告
  3. ラッピング車両
  4. まとめ

1. 看板広告

看板広告は、その形状や構造から「建造物を利用したもの」と「地面に自立したもの」に大別することができます。


建造物を利用したもの

街中で見かける看板の多くは、ビルの壁面を利用しています。大阪のシンボル的な風景となっている道頓堀のネオンサインも、川に面したビルの壁面に設置されたものです。

建造物を利用した看板広告には次のようなタイプがあります。

・壁面看板

・屋上看板(広告塔)

・袖看板(突き出し看板)

・ファサード看板

・電柱広告

・スタジアム看板広告

スタジアム看板広告は他の看板とは若干異質で、たとえば野球場の場合、バックネット前に表示された広告は常時試合のテレビ中継に映り込みます。このような点から、マス広告のような効果を期待することが可能です。


地面に自立したもの

建造物に設置されるのでなく、看板そのものが地面に自立したものを建植(野立て)看板、またはサインポールと呼びます。高速道路を走る自動車や新幹線の窓から見えるこのタイプの看板は、高速移動する乗り物から視認される必要があるため表示面が非常に大きく、また会社名や商品名のみが表示されたシンプルなものが多い傾向があります。


以上が、形状や構造による看板広告の分類でした。なお、看板はその目的によって、誘導看板、説明看板、禁止・注意看板といった名称で呼ばれる場合もあります。

次に、看板広告にはどのようなメリットがあり、どのように利用したら狙った効果が得られるのかをご説明します。看板広告のメリットは、一定期間同じ場所で同じ広告メッセージを発信し続けられることです。広告は接触頻度が高いほど人の記憶に定着します。したがって、たとえば看板を通勤・通学コースに設置すれば、通行人が毎日同じ看板を目にするので、広告メッセージを強く印象付けることが可能です。

看板の設置場所の選定は、地図や建物の図面、通行量等のデータばかりでなく、実際に現地に赴いて状況を確認することが重要です。データには現れない、人の流れや実際の周囲の環境次第では、好条件に見える場所でも認知されにくい可能性があるからです。したがって、看板広告で効果を上げるためには、場所探しの段階から力になれる広告代理店との連携がポイントになるでしょう。

看板広告の予期せぬ効用としては、通行人の心に「刺さる」クリエイティブであれば、写真に撮られ、SNSで紹介される可能性があります。そのような、あえて「バズ」を狙う看板を企画しても面白いのではないでしょうか。

2. ラック広告

「ご自由にお取りください」と記され、パンフレット、フリーペーパー、フライヤー類が展示されたラック。これもまた屋外広告の一種ですが、メッセージを印象付けるだけの看板広告とは異なり、資料を持ち帰った人は申し込みや購入などのアクションを起こす可能性が高く、また資料の減り方で効果が測れるメリットがあります。

ラックもまた看板同様に設置場所が成果を左右します。しかし、設置場所の選定には看板とは異なる観点が必要です。たとえば、人通りの多い場所であっても、まっすぐな通路の途中だと人はなかなか立ち止まらないので、資料を手に取ってもらえません。その点、曲がり角やコーナーになっている場所ならば資料が取られやすく早く減る傾向があります。とは言え、ラックのせいで通行が滞るとトラブルになる可能性もあるので、様々な制約条件下でベストな場所を見つけ出すことが重要です。

また、ラックはメンテナンスが不可欠です。資料がなくなって長期間空になっている、あるいは資料が古くなって汚れたまま刺さっている。ラックがこのような状態になっていたら見栄えが悪く、企業や商品のイメージを損なって逆効果です。常に適度な部数のきれいな資料が展示されているよう、メンテナンスまで含めた予算確保と準備をご検討ください。


3. ラッピング車両

ラッピング車両は交通広告に分類されますが、広く屋外で展開する広告メニューということで、ここにご紹介します。

ラッピング車両とは、バスや電車の車両を丸ごと広告媒体化してしまう、インパクトの大きな広告メニューです。バス路線や電鉄の沿線の住人に向けて広告メッセージを発信できるので、エリアマーケティングにおける有力な選択肢と言えます。このようなことから、ラッピング車両を利用する広告主は、工務店、リフォーム会社、質屋、クリニック、葬儀会社、不動産会社、学校等、地域密着型の事業者が多い傾向があります。

ラッピング車両はインパクトが大きいのでブランディングに適していますが、広告デザインの中に「〇〇駅(停留所)下車」等の表示をすれば、車両の利用者にスムーズに店舗や施設に誘導する効果も期待できます。あるいは、電車の女性専用車両に女性向け商材の広告デザインでラッピングするといった、車両の特性に応じた企画も可能です。

ラッピング車両は料金も手ごろなので非常に人気が高く、多くの広告主が反復的、継続的に利用しています。契約車両が空いたらすぐに押さえないと他の広告主に取られてしまうので、掲出期間が決まっている場合は早めの確保が必要です。

4. まとめ

屋外広告の企画において重要なことは、まずメッセージを届けたいターゲットを明確にすることです。屋外広告は多くの人の目に止まるものですが、そこにいる誰に見て欲しいのかが曖昧では期待した効果は得られません。
次に、ターゲットが明確になったら、広告掲出場所を選定するために、候補エリアを生活圏とするターゲットはどのくらいいるか、掲出場所はターゲットの移動ルートにあるか等を調査します。正確なデータを取るために、企画段階で調査会社を使う事業者もあります。屋外広告はオフラインなので広告効果が測りにくいデメリットはありますが、成功事例の裏には綿密な調査やそれに基づいた場所の選定があります。

また昨今、屋外広告の多くはネット広告と連動した導線を張っています。看板広告の中に「〇〇で検索」と検索ワードを大きく記載したり、「何だろう?」とわざと違和感を残すクリエイティブを使ったり。今はほとんどの人がスマートフォンを持っているので、知りたいと思ったことはその場ですぐに検索して知ることができます。こうして、屋外広告を入口にしてユーザーは事業者サイトに誘導されるわけです。

ネット広告と連動した屋外広告の企画は、「看板広告専門代理店」や「ネット広告専業代理店」等では対応できない場合があります。ご検討の際は、多種多様な広告を扱って30年以上の経験豊かなスタッフが在籍するライダース・パブリシティにご相談ください。