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シニア向けに特化したメディア活用が今後、広告戦略の核になる理由

シニアに特化した広告戦略とメディア活用法

平成27年に行われた内閣府の調査では、65歳以上の高齢者人口は3,392万人となっており、総人口に対する割合は26.7%、実に国民の4人に1人が65歳以上という時代を迎えています。これはWHO(世界保健機関)が定める定義に則ると、超高齢社会(21%以上)に該当し、日本の高齢化率は世界でも最も高く、その後イタリア(22.4%)、ドイツ(21.2%)と欧州の先進国が続きます。
予測では2042年には65歳以上の人口数が3,874万人でピークを迎え、そこから総人口は減少に転じますが、高齢化率は上昇し続け、2060年には39.9%に達するとも言われています。
そうなると2.5人に1人が65歳以上になり、社会構造が大きく変わる可能性があります。

このような背景から、高齢者人口の増加に伴いシニア向けの市場規模も拡大し、多くの企業がシニアに特化したビジネスへの新規参入を検討しています。
シニア向け市場は現在既に100兆円に到達し、今後も毎年1兆円ずつ増加し続け、市場における割合は2030年には5割に達するとも言われています。
これらを踏まえ、大きな可能性を秘めたシニア向け市場に特化した広告戦略や、その効果を検証します。

シニアに向けた広告効果が期待できるメディア一例

多くのシニア層にとって、現在も紙メディアが圧倒的に優位であると言えます。

パソコンやスマートフォンの使用も着実に増加しており、ネット広告も決して無視できる存在ではありませんが、主力はまだ紙メディアと言えます。シニアは比較的時間に余裕があるため若年層と比較しても閲読への効果が期待できます。プロモーション側がターゲットに合わせた紙メディアを選定することで、効果的な情報提供が可能です。

下記にメディアとそれぞれの特性を例としてまとめます。

新聞広告

「2015年全国メディア接触・評価調査」では毎日、新聞を読むという回答の割合が60代で72%、70代以上で86%と非常に高い数値となっています。若者の新聞離れが顕著ではあるものの、シニアにとっては重要なメディアであることに変わりはありません。

新聞に広告掲載されている商材も、メディアに対する信頼性から、紹介されている商品自体、読者から信用され、安心して購入しやすい、と思われる可能性があります。 

折込チラシ 

特に家庭を担う主婦の方への訴求率が高い媒体です。

シニアの方は毎日、新聞の折込チラシのチェックを日課としている方も多くいます。これも新聞広告と同様に新聞関連のメディアであることから、信頼を伴った訴求が可能です。 

行政メディア 

市町村が発行する、広報誌などの公的な紙面もシニアに特化したメディアとして有効です。こちらも発行元が行政であるゆえの信頼感があります。毎号隅々まで読む読者も多く、地域情報を得るための重要なツールと考えている方も多くいるようです。広報誌の場合、行政によっての例外もありますが、多くの紙面で広告枠が設けられており、その枠への広告出稿が可能です。

フリーペーパー 

タブロイド紙や冊子形態の、地域密着型の無料情報誌を総称してフリーペーパーと定義します。イベントやタウンショップ、求人情報、住宅・不動産、グルメ・飲食店、ショッピング、演劇、エステ・美容、レジャー・旅行、各種スクールや教室など、ジャンルを問わず幅広い生活情報が、記事と広告で構成されています。

割引特典やクーポンを備えたフリーペーパーも多く、そのお得感から、特に主婦層に愛用されています。ただし、発行エリアは都市部に集中しており、それ以外のエリアでは有効ではない場合があります。 

会員誌 

多数のシニア会員を持つ企業では、会員誌の発行が行われています。これの活用により、シニア層に向けてより効果的な広告戦略が期待できます。

一例を挙げると 

  • クラブツーリズム『旅の友』  
  • ゆこゆこ『ゆこゆこ』
  • JR東日本『大人の休日倶楽部』
  • カーブス・ジャパン『カーブスマガジン』
  • いきいき『いきいき』
  • KADOKAWA『毎日が発見』

上記のような会員誌は誌面に広告出稿や編集タイアップ企画も広告枠として販売されています。

ただし、他の記事内容や読者からの要求と大幅にイメージがかけ離れている場合は掲載不可や、たとえ掲載してもターゲット層との乖離が生じると、訴求効果が減少するため注意が必要です。

旅行関連の会員誌であれば旅行カバンや旅行グッズなど、フィットネス関連なら化粧品やサプリメントなど、美容と健康に関連した商品に高い親和性があり、効果的な訴求の可能性が高まります。 

各種広告物のデザイン制作のポイント

読みやすい文字サイズとフォントで

シニア層向けのため、やはり文字はやはり大きいほど読みやすく、閲読数も上がります。ある程度、文字の間隔やゆとりのある記事構成、読みやすさを心がけたデザインが効果的です。また、フォントも特徴的な個性の強いものは読みづらいため、避けたほうが無難です。

シニアの方々にも分かりやすい言葉で

現代の流行語や略語など、シニア層にとって理解し難い言葉の使用は控えましょう。ターゲットであるシニア層の側に立ち、ユーザビリティを重視した制作が重要です。 

「高齢者」という単語はあまり使用しない

高齢者と呼ばれる年齢(65歳~)に達して突然、趣味嗜好や消費性への変化は基本的にありません。そのため、年齢だけを捉えて高齢者と決めつけてしまうことは、かえってシニア層の心を遠ざけてしまう可能性があります。 

業種の例から広告メニューを考える

シニア向け住宅やホームケアハウスなど

住まいを選択する場合はエリアが非常に重要なポイントです。シニア層の多くが、全く知らない土地へ新たに居住することは検討しません。ある程度なじみのある街、愛着のある地元エリアの中で探す場合が多いようです。

そのため、PR側が比較的柔軟にエリア選定ができる折込チラシが有効と考えます。新聞広告も有効ですが、折り込みチラシに比べ配布エリアが広いため、潜在顧客が少ないエリアにも訴求せざるを得ない場合があります。ただし、複合的なメディアの組み合わせは訴求力が高まるため、同時出稿という手段が効果的です。

また広報誌も、ターゲットにしたい地域が絞れるため、シニア向けの住宅など「住に関する」商材の場合、利用価値が高いと言えます。

健康食品など

地域性にとらわれない商材の場合、全国的に展開できる新聞の広告枠が効果的です。

全国版になると総額は上昇しますが、その分、1部あたりの単価が下がります。このような商材の場合、繰り返しの刷り込みが購入につながることも多く、一定期間内で複数回の広告出稿が重要です。