マーケティングコミュニケーションの手法の一つとしてスタンプラリーの実施を検討しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、スタンプラリー実施で得られる効果や事例をご紹介します。問題点にも触れますので、事例と合わせて検討すればより現実的な施策を生むことができるでしょう。
目次
- スタンプラリーの実施で得られる効果
- スタンプラリーを実施する際の問題点
- 新しい形のレコメンド型デジタルスタンプラリーとは
- マーケティングコミュニケーションとしてのデジタルスタンプラリー(モバイルスランプラリー)の事例
- マーケティング戦略に悩んでいるのならライダース・パブリシティへ!
- まとめ
スタンプラリーの実施で得られる効果
スタンプラリーを実施することで、マーケティングコミュニケーションの課題解決という観点から見てどのような効果があるのでしょうか。ここでは、4つに分けて効果を見ていきましょう。最近注目を集めている「デジタルスタンプラリー」については後述します。
新規の集客ができる
スタンプラリーとは、提携する施設やイベント会場内に設置したラリーポイントでスタンプを押して回り、一定数集めると特典がもらえるといった施策です。無料で参加して特典がもらえる手軽さとお得感、ゲーム感覚でミッションをクリアしていく楽しさがあります。
そのため参加者は顕在顧客だけとは限りません。商品やサービスに興味がない潜在顧客でも、ゲームを体験することや特典を目的として、自発的に参加し、ラリーポイントを巡ります。
開催地は鉄道駅や商店街、イベント会場内など様々ですが、鉄道駅を巡るスタンプラリーでは乗降客数の増加、商店街のスタンプラリーでは各店舗への顧客誘引 といったように、新規の集客が可能となるでしょう。
回遊を促進できる
スタンプラリーは、参加者がラリーポイントを巡ることを前提とした施策です。主催者がラリーポイントや動線をコントロールすることで、それまで人気がなかった場所に参加者を誘導することができます。
幅広い層の参加者に回遊を促すことで、参加者は入ったことのない店舗や体験したことのないサービスに触れることで新たな発見が生まれ、商品やサービスの認知とニーズ・ウォンツを刺激されることになりますので、主催者はこの変化を逃さないように施策を継続あるいは改善することにより、売上向上などの「次につながる」メリットが生まれていきます。
滞在時間をコントロールできる
スタンプラリーを実施した場合、ラリーポイント(店舗)の数が多ければ多いほど、参加者が立ち寄る店舗数や平均滞在時間が増加することが報告されています。
(参考:『シャチハタ スタンプラリーの効果』/ https://www.shachihata.co.jp/stamprally_service/lab/5.html)
また、ラリーポイントに番号をつけることで参加者の動線をコントロールすることも可能となり、滞在時間を伸ばす効果も期待できます。参加者の行動を予測して動線計画を立てることを意識しましょう。
ユーザー行動履歴が取得できる
スタンプラリーの参加者は、一定数のスタンプを集めると、最終的に特典を配布するゴールポイントに集まる、もしくは台紙を事務局に郵送します。台紙にスタンプを押した順番や開始・終了時刻を把握できる工夫をしておけば、どのような経路で回遊したかという行動履歴の集計も可能となりますし、参加者からアンケートを回収すれば、さらに有益なデータを集めることになるでしょう。
この情報は顧客情報管理のブラッシュアップに生かすことができ、その後のエリアマーケティングや次回のスタンプラリーの計画にもつなげていけます。
短時間で顧客のリアルな行動観察データが得られる貴重な機会であるため、どのような情報を集計するかを事前に計画しておくとよいでしょう。
スタンプラリーを実施する際の問題点
スタンプラリーは、主催者側のマーケティングコミュニケーション課題解決につながるだけでなく、参加者にとっても楽しめる企画であることがメリットとしてありますが、紙の台紙や地図を使った従来のスタンプラリーではいくつかの問題点があります。ここでは、スタンプラリーを実施する際に気をつけたいポイントについて見ていきましょう。
台紙や人件費などのコストがかかる
スタンプラリーを実施する際には、ラリーポイントを示す地図やスタンプ、スタンプを押す台紙が必要で、これらのデザイン費や印刷費のコストがかかります。
また、受付やラリーポイント・ゴール会場などに配置するスタッフにかかる人件費も発生します。こういったコストを勘案して、費用と労力に見合う効果が得られる計画を立てましょう。
台紙や地図を紛失してしまうことがある
スタンプラリーの台紙や地図は参加者が各自で管理するため、ゴール会場にたどり着く前に紛失してしまうことも考えられます。地図は受付で再発行できるとしても、スタンプを押印した台紙を紛失した場合には対応が難しいでしょう。
こういったケースに備えて、ラリーポイントで参加者の達成状況を管理して情報共有するなど、対策をとっておくことも必要かもしれません。参加者が最後までラリーを楽しめるように、フォロー体制を整える必要があります。
スタッフの配置や押印の作業、台紙送料が必要となる
1日限定のスタンプラリーの場合、必要な場所は受付・ラリーポイント・ゴール会場の3つです。これらのポイントそれぞれにスタッフを配置します。受付とゴール会場はひとつにまとめることもできますが、ゴール会場が早い段階で混雑する可能性もあるため、分けておくほうが無難です。
受付の周囲には、呼び込みスタッフも配置しましょう。参加希望者にはラリーの概要を説明し、台紙と地図を渡します。ラリーポイントでは参加者が持つ台紙に押印するだけでなく、次のラリーポイントへの経路や残り時間など、参加者の質問に答えることも必要です。ゴール会場では参加者の台紙を確認し、抽選や賞品の配布、アンケートを実施します。
また、事務局に台紙を郵送する形態では、企業側での送料の負担もしくは、参加者に切手を貼付していただく手間も付加されます。
このようにスタンプラリーにはさまざまな作業が必要となるので、事前準備やスタッフの教育は適切に行いましょう。
一過性で終わる可能性がある
参加者がスタートからゴールまでスタンプラリーを楽しんでもらうこと大切ですが、主催者としては一過性のイベントとして終わらせないことも重要です。
スタンプラリーで一度回遊しただけの参加者は、単にゲームへの参加や特典を目的にしている場合もあり、本来の目的である店舗や商品の魅力を十分に伝えきれない可能性があります。
そのためには、参加者をリピーターに育成していくための対策やアイデアが必要です。特典の魅力で参加を促すだけでなく、スタンプラリー中のインストアプロモーションや、抽選後のアフターフォローにも注力しましょう。
新しい形のレコメンド型デジタルスタンプラリーとは
「デジタルスタンプラリー」は、スマホのアプリやブラウザに表示する台紙に「電子スタンプ」を押す、ICTやIoTを活用したスタンプラリーです。
この発展形である「レコメンド型デジタルスタンプラリー」では、参加者の属性やスタンプの履歴にもとづき、ラリーポイントや周辺情報をレコメンドできます。
スマホを活用することによって、台紙のコストや紛失の心配を解消することが可能です。スタンプラリーではさまざまな属性の参加者に対応することが求められますが、入力情報をもとにコントロールできることも利点といえるでしょう。さらに、スタンプを押したタイミングも記録できるため、参加者の属性別に効果測定することが容易になります。
マーケティングコミュニケーションとしてのデジタルスタンプラリー(モバイルスランプラリー)の事例
ここまでは、紙のスタンプラリーでのメリットや注意点について解説しました。一方で、デジタルスタンプラリー(モバイルスランプラリー)では、紙のスタンプラリーでの問題点が解決できる上、顧客情報も管理しやすいといった点で有効的です。ここでは、デジタルスタンプラリー(モバイルスランプラリー)により、マーケティングコミュニケーションの課題解決に成功した事例を紹介します。
北海道エリアを周遊するデジタルスタンプラリー
ある旅行会社では、北海道の全エリアを対象にしたスタンプラリーを実施しました。対応する専用 アプリを起動させラリー参加店のマーカーにかざすとスタンプが獲得でき、一部店舗ではお得なクーポンも配布されるシステムです。
数ヶ月という長い開催期間中にラリー参加店の中から3店舗のスタンプを集めると、旅行券や北海道のお土産などの賞品が抽選で当たるといった内容で、旅行者が定番スポット以外も回遊するようになるため、地域活性化にも繋がった事例です。
鉄道会社のデジタルスタンプラリー
離れたエリアで路線を運営する鉄道会社2社が協働してスタンプラリーを開催しました。各々の顧客を互いの沿線に送客し、活性化することが主な目的です。対象駅の改札内にあるマーカーを専用アプリで読み取り、スタンプが一定数になると抽選に応募できます。
賞品はそれぞれの鉄道会社で用意しており、スタンプは別々に集めることが必要で合算はできません。利用客の多い鉄道会社とスタンプラリーを共催して、高いイベント性で訴求する形です。
ストリートライブ会場を周るARスタンプラリー
アカペラストリートライブの主催者が、イベント中にライブ会場を周るARスタンプラリーを開催しました。誰でも気軽に参加できる企画を目的にクラウドファンディングで資金を調達し、実現させた新企画です。
複数のライブ会場にあるGPSと連動したロゴマークをARアプリ(※) で読み込み一定数のスタンプを集めると、開催地の名産品が抽選で当たる施策でした。ラリーポイント10か所中4か所のスタンプで応募できるようにすることで、ライブを楽しむ余裕も確保した仕様です。
人気アニメの登場人物と記念撮影ができるARスタンプラリー
人気アニメのファンイベントの一環として、ARスタンプラリーを活用した事例もあります。参加者全員に、主人公の衣装をイメージしたTシャツをプレゼントし、参加者は主人公の気分を味わいながら、アニメの内容とリンクしたスタンプを集めていきます。
ARアプリ(※)でマーカーを読み込む際には、登場人物と記念撮影ができる特典つきです。アトラクションや限定グッズも用意し、声優のゲスト出演もあるなど盛り沢山の内容でした。タイアップイベントにスタンプラリーを組み合わせた好例です。
(※)AR(拡張現実)アプリとは
スマートフォン上で「現実世界」と「デジタル情報」を融合させた映像を表示するアプリケーションのこと
生活必需品の通販でスタンプラリー
生活必需品を取り扱うECサイトにて、web上で完結するスタンプラリーを実施しました。キャンペーンにエントリーして対象商品を購入するとスタンプがたまり、クーポンがもらえます。
期間を限定し、開催時期に合わせて対象商品や賞品の内容を変えていく施策です。これにより「今売りたい」商品に合わせた販売促進ができます。
賞品のクーポンはECサイト内で使えるため、顧客の囲い込みが狙える点もポイントといえるでしょう。クーポンはスタンプの獲得数に応じて割引率の異なる2種類を用意。ECサイトでの購買意欲を刺激し、さらにリピーターの獲得にもつながりました。
ビンゴ配列を組み合わせた楽しみが広がるデジタル スタンプラリー
スタンプラリーの台紙をビンゴ配列にすることで、よりゲーム性を高めることが可能です。スタンプの数を9個や16個にして、賞品も1列揃うごとに応募できるようにします。これにより、参加者それぞれが「どこからクリアしていくか」という戦略を立てて楽しむ要素が生まれるでしょう。
主催者は1列ごとに関連する店舗を配置し、参加者の興味を喚起する動線を作ります。たとえば、飲食関係の列の中にすでに人気の店舗とオープン間もない店舗を入れれば、自分の興味と列を揃えるという目的の相乗効果で、新規店舗へ誘導しやすくなるでしょう。
(自治体向け)観光客周遊促進のためのデジタル スタンプラリー
さまざまな自治体で、地域活性化のための施策としてスタンプラリーを活用しています。計画に際しては、自治体ごとに人口動態の独自調査もできますが、「内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局」が提供する「地域経済分析システム(RESAS)」の官民ビッグデータが有用です。
RESASを活用すれば、地域の産業構造や人の流れを可視化できるため、どのようなスタンプラリーが効果的かを分析しやすくなるでしょう。
実際にビッグデータの分析をもとにデジタルスタンプラリーを行った自治体では、産学官が連携して、新商品の販売促進に効果を生んだ事例もあります。観光客の周遊を促進し、地域活性化につなげる施策としても、スタンプラリーは有用です。
(参考:RESAS地域経済分析システム/https://resas.go.jp/#/13/13101 )
マーケティング戦略に悩んでいるのならライダース・パブリシティへ!
ライダース・パブリシティ関西マーケティングプロモーション部ではさまざまなチャネルと幅広い業種に対応し、データ分析にもとづく効果的なセールスプロモーションを提案・実施いたします。
スタンプラリーは紙からスマホへ、独自調査からビッグデータの活用へという新しい流れが生まれているのが現状です。デジタルデバイスを使って参加者の動線をコントロールすることにより、商品の認知やニーズの喚起、販売促進につなげていくことが可能です。
まとめ
デジタルスタンプラリーが注目を集めていますが、導入方法はさまざまです。オリジナルアプリと電子スタンプを組み合わせたシステムもあれば、ARアプリを活用したものもあります。実店舗だけでなく、ECサイトで擬似的にスタンプラリーを行うという施策もあります。
さらに、利便性が高く制作コストを抑えられるweb式(QRコードを読み取り、表示されたURLにアクセスし、スタンプを集める。アプリのインストールが不要)も需要が高まってきています。
ライダース・パブリシティ関西マーケティングプロモーション部では、時代の変化に即した様々なマーケティング戦略の立案から実施までをサポートいたします。
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