「企画とは何か」と問われて、すぐに定義を答えられないという人もいるのではないでしょうか。商品企画やブランド戦略、セールスプロモーションなどにも深く関わる企画は、ビジネスに不可欠な要素です。
企画力を高めてビジネスを発展させるために、企画とは何かを改めて考え、イメージをクリアにしましょう。そこでこのコラムでは、企画立案のために重要なロジックやマインドについて解説します。消費者心理を踏まえ、複数のメディアを活用した広告企画の例についても見ていきましょう。
目次
企画の真の目的と企画をつくるために必要なこと
ビジネスには不可欠な「企画」ですが、企画の一般的な意味としては、「ある事を行うために計画を立てること」とあります。「企画とは、斬新で新しい事柄を創出するもの」だと誤解されやすいですが、何もないゼロの状態から新しいものを生み出すのは「アイデア」であり、「企画」は新しいものを生み出すことだけに縛らせません。新しいものを生み出すことも大切ですが、何かを実現するための目的達成までの道筋を考えることに意義があり、それが「企画」なのです。
ここでは、企画の本質とは一体どのようなものか?企画の真の目的と、企画立案のために必要なポイントをご紹介します。
企画の真の目的は「現状の不満や課題を解決すること」
企画の真の目的は「現状の不満や課題を解決すること」です。何かに不満や不便があるからこそ、解決するために「企画しよう」という意思が芽生えます。
不満や不便を「こういうものだ」と我慢していたり、無意識のうちに不自由さを受け入れて「○○だから仕方ない」や「○○で当然」と思い込んでしまっているところにこそ、課題が隠れていることがあるのです。
企画とアイデアの違い
先にも述べましたが、アイデアとは「思いつき」「着想」という意味の単語で、ビジネスの場においては「新しい物事を生み出す」という意味合いで使用します。一方、企画は物事の達成のために「どのような道筋をたどるか」に焦点を当てたものです。
企画とアイデアは似ていますが、アイデアを出すのは企画の前の段階です。たとえば「新しいサービスを作る」という議題が挙がったとしましょう。まずは「どのようなサービスが良いか」というアイデアが出されます。次に「そのアイデアを実行に移すにはどうすれば良いか」を企画します。アイデアを具現化する試みが企画です。
企画をつくるにはインプットが重要
企画をつくるには、まずインプットが重要な要素となります。多くの人と交流を持ったり、社会・経済の動向をチェックしたり、売れている商品や街を見たりして情報や知識を吸収することで、新たな視点が生まれます。そういった積極的なインプットが良い企画を生むのです。
そして、現状把握も大事なインプットのひとつです。自社や自社製品の「アンケート調査」「ユーザー訪問」「グループインタビュー」を実施すると、現状の問題点が浮き彫りになります。その問題点を解決、改善できるような企画を立てれば、企画の真の目的である「現状の不満や課題を解決すること」を達成できます。
企画力は経験で養われる インプットしたらアウトプットしてみよう
企画力は経験によって養われます。応用力を高めるためにもインプットしたら日々細かくアウトプットすることが大事です。では、日常的にアウトプットをするにはどうすれば良いでしょうか。ここでは、アウトプットの方法と情報の分析方法について解説します。
普段からできるアウトプットの方法
普段からできるアウトプットの方法として、身の回りや社会で起きた出来事について「なぜ起きたのか」と探り、そのことを周りの人と討論することが挙げられます。原因追求だけでなく、今後の展望まで、できる限り深く考えてみましょう。
ほかにも、街中を歩いていて気になったコト・モノをメモして「なぜ気になったのか」を考えることも有効です。インプットした情報が自分の中で整理されて、分かりやすくなります。これらを習慣づけることで、企画をまとめる力、人に分かりやすく伝える力が身につきます。
企画をつくる際のポイント
実際の企画づくりにもさまざまなポイントがありますが、主には、「特定のワードを使わない」「切り口」「伝え方」の3つがあります。これらのポイントを押さえれば、より魅力的な企画をつくれるので参考にしてみてください。
企画を特定のワードを使わずに表現してみる
企画をつくる際、「おいしい」「楽しい」といった感覚的な表現を使わず、より具体的な言葉で表現するのが好ましいとされます。たとえば「このカレーはおいしい」という表現ではなく、「おいしい」の部分を「スパイスが効いている」「数種類の野菜が溶け込んだ深い味わい」といった表現に変えることができます。
ありきたりな言葉では伝わらないものも、具体的でより感性豊かな表現方法なら、強く受け手に伝えることができるでしょう。
企画の切り口
企画をつくる際、「どういう視点から物事を語るか」といった切り口を考えることで企画の伝わり方が大きく変わります。たとえば商品やサービスの情報を売り手の視点で考えるのか、それとも買い手の視点で考えるのかによって受ける人の印象は変化します。
また、新しい切り口を考えるには、視点を変えて色々と試してみるのもおすすめです。ただし、あまりに変わった切り口だと、肝心な内容が伝わらない恐れがあるので注意しましょう。
企画の伝え方
企画は、伝え方ひとつで大きく違ってきます。顧客やチームへの伝え方が主観的であったり個人的見解のものであったりすると、真の企画意図が伝わりません。主観的な伝え方はあくまでも一個人の感想です。対象を納得させるだけの力はないと考えましょう。
なぜそのような切り口で考えたのかを説明することも重要です。企画の背景や主旨が加わり、よりいっそう説得力が増します。
また、実際に企画を形にする担当者への伝え方によっても、できあがってくるものは大きく異なります。企画の目的や骨子をブレずに伝えることも大切です。
消費者に選ばれる企画を考えるために
ライフスタイルも変化に富み、消費者のニーズや好みも多様化しています。インターネット活用も進む昨今、消費者に選ばれる企画にするためには、マーケティング調査も重要と言えます。
ここでは、消費者へのマーケティング調査の必要性とそれによる課題解決について考えてみましょう。
マーケティング調査の種類
マーケティング調査は、これまでも様々な手法で実施されてきていますが、一般的によく実施されている調査には以下のようなものがあります。
- アンケート調査
- 郵送調査
- 電話調査
- ソーシャルリスニング
- Webリサーチ
- グループインタビュー
- モニター調査
- 覆面調査
マーケティング調査はなぜ必要なのか?
消費者に選ばれる企画にするためには、企業と消費者の視点をできるだけ同じレベルに近づけることが重要で、そのためにはマーケティング調査が必要と言えます。また、マーケティング調査を実施することにより、企業からは見えていなかった問題点を把握することが可能となり、リスク軽減にもつながります。消費者のニーズを的確に掴み、選ばれる企画にするためには、マーケティング調査は欠かせません。
まとめ
このように、企画をつくるには、まず自分たちの現状はどうか、不満は出ていないか、商品に満足いただいているかを把握したうえで、社会の情勢はどうか、競合はどうか、消費者は何を欲しているか等、あらゆる情報を収集して、方向付けをすることが大切です。そのうえで「今よりちょっといい」を見つけることで企画となります。新商品や新サービスを企画することは容易ではありませんが、以上のような流れ・考え方でユーザーに喜ばれるモノ・コトが生まれます。
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