COLUMN最新記事

事業戦略策定時に使えるフレームワークとは?策定の手順も解説

事業戦略を策定しようとするときに、どのようなフレームワークが効果的なのか、事業戦略はどうやって策定したらよいのか、判断がつかないという方もいるのではないでしょうか。

適切なフレームワークを目的に応じて使い分けることで、ビジネスの成功に効率よく近づけることができ、事業戦略を考えプレゼンするうえで役立つ、代表的なフレームワークを6つご紹介します。加えて事業戦略を策定する際の5つのステップもあわせて解説します。


目次

  1. 事業戦略を書くうえで活用できるフレームワークとは
  2. 事業戦略を策定する適切な手順とは
  3. そもそも事業戦略とは何か?経営戦略との違いは?
  4. まとめ

事業戦略を策定するうえで活用できるフレームワークとは

ここでは外部環境分析、内部環境分析、プロジェクト管理の分野で使えるフレームワークをご紹介します。フレームワークとは、経営環境や戦略を分析するために共通して用いることのできる枠組みのことです。

外部環境分析とは、競合他社・所属する業界・社会の動向など、自社を取り巻く環境を分析することです。内部環境の分析では、自社の強みや弱みを分析します。

ここからは、事業戦略の立案・プレゼンなどに活用できる6つのフレームワークの詳細をご紹介します。


SWOT分析

外部環境分析と内部環境分析を同時に行えるのがSWOT分析です。両方を同時に、かつ正しく把握し分析できれば、より正確な事業戦略を策定できます。

SWOT分析の要素は、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4項目です。

内部環境の分析に用いるのは、Strength(強み)とWeakness(弱み)です。自社にどのような強みや弱点があるのか、情報を収集し分析します。

Opportunity(機会)とThreat(脅威)で分析するのは、自社を取り巻く外部環境です。たとえば、売上上昇につながる傾向や機会にはどのようなものがあるのか、売上の低下につながる脅威は何かを情報収集し整理します。

3C分析

3C分析も外部環境と内部環境の分析を同時に行えるフレームワークです。自社の現状を分析し、結果を今後の事業戦略の立案に活かすことができます。

バナナを売りたいという販売戦略を考える場合を例として、3Cのそれぞれの視点で分析すべきことをご紹介します。

①Company(自社)

自社の商品やサービスがもつ強み・特徴を考えます。たとえば、自社の販売するバナナは甘みがある、無農薬である、他社の商品よりも栄養価が高い、などです。

②Competitor(競合)

競合他社の売上や利益率、コストなどの結果と、そのリソースの情報を集めます。1人あたりや店舗あたりの売上を調査することで、資本がどれくらい効率よく利用されているのかが分かります。競合が利益を出している理由を知ることで、自社に取り入れられることが見えてきます。

③Customer(顧客)

ターゲットとなる顧客や顧客のニーズを明確にします。たとえば、バナナを購入する層に関する情報を分析します。

こうした3つのポイントを分析することで、「自社のバナナのおいしさと健康効果をアピールして、女性や健康志向の方に訴える販促活動をする」といった販売戦略が立てられます。

PEST分析

PEST分析は外部環境の分析に適したフレームワークです。Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の英単語の頭文字を取ったものです。

これらの4つの分野を背景とする影響は、企業単体の努力ではコントロールできません。しかし、経営に大きな影響を与える要素となるので、情報収集し整理分析する必要があります。PEST分析それぞれの要素で、どのような点を考えるべきか解説します。

①Politics(政治)

Politics(政治)に関して分析するべき情報は、取引先の企業や自社が存在する国の政権交代・増税・規制緩和・法律の改正などが挙げられます。

②Economy(経済)

Economy(経済)の分析対象は、国内外の経済市場の動き・インフレ・デフレ・物価指数・GDP成長率などが含まれます。

③Society(社会)

Society(社会)に関しては、取引先や自社のある国の人口動態・人々のライフスタイルの変化・伝統や、文化・宗教・教育・犯罪の傾向などを分析します。

④Technology(技術)

Technology(技術)については、取引先や自社の事業内容に関係する新技術や特許などの情報を、収集し分析します。

自社を取り巻く4つの環境を分析することで、次に打つ手は何かを考えることが可能です。外部環境を把握して、それに応じて事業戦略を立てることが重要になってきます。

VRIO分析

VRIO分析は自社の内部環境を分析できるフレームワークです。自社のもつ強みと弱みを分析できます。

評価項目は、Value(経済価値)・Rarity(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)の4つです。自社の経営資源を評価し、強みや業界市場内での競争優位性を見極めます。

分析結果から、競争優位性の維持のための施策、競争力強化のための効果的な施策などを策定できます。4つのポイントそれぞれの意味を、さらに詳しく見ていきましょう。

①Value(経済価値)

VRIO分析での価値とは、自社のもつ経営資源の経済的価値もしくは社会的価値のことです。経営資源の獲得や維持のための費用のことではないことは、注意してください。

「自社の商品が自社や顧客、ひいては社会全体に対して多くの利益をもたらしているか」という視点で評価します。

② Rarity(希少性)

希少性の高い商品やサービスを提供できれば、価格以外で競合他社と勝負できます。評価する点は、「自社の商品やサービスが、市場内で希少性が高いものであるか」です。

③Imitability(模倣可能性)

自社の提供する商品やサービス、ビジネスモデルなどが模倣されやすいものかどうかを評価します。この評価項目は、自社の経営資源に対する模倣の難易度を評価するので「模倣困難性」とも呼ばれます。

模倣困難性が高ければ、他社が真似しにくいということです。市場において大きなシェアを占めることが可能であり、新規顧客の獲得・リピーター率の上昇など、さまざまなメリットが生まれます。

④Organization(組織)

経営資源に対する従業員の理解や協力姿勢などを分析します。自社の商品やサービスに価値・希少性・模倣困難性があるということは、大きな強みです。そこに組織的なサポートや協力が加わることで、その強みを一時的なものから持続可能なものにできます。

4つの項目を分析することで、「自社の持つ商品やサービスの強み」「市場での競争優位性」を把握し、維持強化するための事業戦略を策定できます。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析も、内部環境の分析に活用できるフレームワークです。バリューチェーンは日本語では「価値連鎖」を意味します。事業を主活動と支援活動の2つに分け、主活動のどの工程で付加価値(Value)を出しているかを分析するフレームワークです。

主活動とは「商品やサービスが顧客に到達するまでの流れと直接関係がある活動」です。支援活動とは「主活動を支える活動」のことです。人事・財務・会計などが支援活動に含まれます。

通信業におけるバリューチェーンを例にすると、以下のようになります。

インフラ構築→営業→契約→サービス提供→料金徴収→アフターサービス

事業内容によりバリューチェーンの形は異なります。商品やサービスが顧客に届くまでにどのような工程があるのか細分化して考えましょう。工程をできる限り細かく分類することで、自社の強みや弱みがどこにあるのかが把握しやすくなります。

PDCA分析

PDCA分析はプロジェクト管理などに活用できるフレームワークです。PDCA分析の4つの項目に含まれる内容を解説します。

①Plan(計画)

計画は、新たな事業戦略や販売計画などの目標を設定し、そのための業務計画を作成する項目です。

目標設定のために解決すべき課題、売上を伸ばすために利用できる機会などの情報を収集します。また、それらの課題をどのようにクリアするか、どのように売り上げを伸ばすかなどの計画を立てます。

②Do(実行)

計画の項目で立てた目標・計画を実行する段階です。また、実行の段階で試した方法が、効果的か効果的でなかったかを記録します。この記録は次の評価の項目で活かされます。

③Check(確認・評価)

確認の項目は、計画どおりにプロジェクトが進行しているかを確認し評価する項目です。現状が計画時の予想よりも大きく乖離していたなら、方針の見直しや物事を進める方法を改善する必要があります。

④Action(改善)

Check(確認・評価)の項目で浮き彫りになった改善点を、実際に改善します。PDCA分析は、ひとつのプロジェクトに対し1回で終わりというものではありません。Actionの段階が終了した時点を新たなスタート地点として、一定のスパンで繰り返し行います。そうすることにより効果的にプロジェクト管理や業務改善ができます。


事業戦略を策定する適切な手順とは

適切な手順を踏むことで、効果的な事業戦略をスムーズに策定できます。①目標やビジョンの設定、②現状分析、③事業戦略の方向性の設定、④実現可能性の評価、⑤施策を設定して実行、これら5つの段階をそれぞれ詳しく説明していきます。

目標やビジョンの設定

事業戦略を策定するための第1段階は目標やビジョンの設定です。達成したい目標・将来のビジョンを明らかにします。

ゴールが曖昧でビジョンが不明確であれば、それに至る道筋も見えてきません。事業戦略を策定するためには、目標やビジョンを設定するという最初の段階はとても重要です。

現状分析

現状分析は最も重要度の高い段階です。現状分析では、外部環境の分析、つまり自社の属する市場や業界の分析・競合他社との比較などを行えます。さらに内部環境の分析として自社の商品やサービスのもつ強みや弱みなども分析可能です。分析には、先ほど紹介したフレームワークが活用できます。

事業戦略の方向性の設定

次に、自社の今後の事業戦略の方向性を決めます。その際のポイントとなるのは、方向性をひとつに絞り込むのではなく、複数の方向性を準備しておくことです。複数を用意しておけば、比較検討することで最良のものを選べるからです。

実現可能性の評価

4つ目の段階は、準備された複数の事業戦略それぞれの実現性・妥当性・効果などを見極める作業です。

ふさわしい事業戦略を見極めるために、実現に必要な費用・得られる効果・想定されるリスクなどを、事業案ごとに検討し客観的に判断しましょう。

施策を設定して実行

最後は、策定した事業戦略を実行する段階です。事業戦略はあくまで「この目標を達成するために、こうしたことを行いたい」という方向性を示しているに過ぎません。それを実行可能な具体的内容へと落とし込むことが必要です。

事業戦略を実現させるために細かな施策を複数立案し、優先順位をつけ実際に現場で実行することで、事業戦略は生きたものとなります。


そもそも事業戦略とは何か?経営戦略との違いは?

ここでは「事業戦略」という言葉の意味と「経営戦略」との違いについて簡単に触れておきます。

多くの企業は、ひとつの事業だけでなく複数の事業を展開しています。会社全体の戦略を考えるのが「経営戦略」、会社が展開している事業ひとつひとつに必要な戦略を立てるのが「事業戦略」です。

「事業戦略」は「競争戦略」とも呼ばれます。複数の事業を展開する企業の各事業部が、顧客の獲得や競合他社との競争に勝つための差別化や、事業部内の組織のマネジメントなどを考えます。

「経営戦略」を担当するのは、企業の経営陣です。それぞれの事業にどのように資産や人材といった経営資源を配分するかを考えます。そのため、経営戦略は「全社戦略」「組織戦略」とも呼ばれます。事業戦略と経営戦略の相乗効果により、企業は成長できます。


まとめ

事業戦略を策定するために活用できるフレームワークを紹介しました。事業戦略策定には、自社が属する業界や市場などの外部環境の分析、自社のもつ強みや弱みなどの内部環境の分析が必要です。

ライダース・パブリシティ東京マーケティングプロモーション部では、予算や事業規模にかかわらず、お客様の事業戦略に応じた各種市場分析、商品開発へのご協力、効果的な販売促進プランの作成などを行っております。

事業戦略を実行するためのサポートを必要とされているなら、ライダース・パブリシティ東京マーケティングプロモーション部にぜひご相談ください。


東京の広告代理店ならライダース・パブリシティマーケティングプロモーション部までお問合せください